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顎、顔面、口腔領域の外傷

顔やあご(上顎、下顎)や歯は、外傷を受ける機会が体の他の部位と比べて多い事はみなさんよくご存知のことと思います。外傷の程度により、顔の変形や物が噛めないとか口が十分に開かないなどの障害を引き起こすことがあります。

交通事故やスポーツ外傷などにより、顔の骨やあごの骨が折れたり、歯が抜け落ちたり折れたときには、適切な治療を速やかに受けることは非常に大切です。
外傷を受けた時意識があれば、歯が抜け落ちたり折れた事を見落とすことはありません。しかし顔やあごを構成する骨は解剖学的に複雑に入りくんでおり、手足の骨と比べて骨折の診断は容易ではありません。
また外傷を受けた時に、頭部や体のほかの重要な器官に異常があれば生命を維持するための治療が優先されますので顎・顔面・口腔領域の外傷の治療開始が遅れ、さまざまな障害を残すこと(後遺症)があります。

万一このような事故に遭い、救急病院に運び込まれることになれば、口腔外科医にも診察を受けられるように配慮することで不快な後遺症に苦しむことを避けることが出来ると、私どもは考えています。

顎・顔面・口腔領域の骨折

顔やあご(上顎、下顎)や口を構成する骨は、複雑な形をしたさまざまな大きさの骨から成り立っています。さらに上あごと下あごには、前歯群・小臼歯群・大臼歯群あわせて上下で32本の歯が生えています。これらの歯が、個人によってそれぞれ異なる噛み合わせを形づくっています。

外傷によりさまざまな力が、顔やあごに及びこの領域に骨折がおきると、構成する骨格が複雑なことに加え、個人差の大きい噛み合せも関与するために診断と治療には高度な専門知識と技術を要します。
顔に変形を残さずまた顔の目立つところにメスを入れないような審美的な配慮をすると共に、治療後に口が十分開ききちんと物が噛めるよう機能回復をはかることが重要です。

治療に使う手術器具は、この領域専用に開発されたもので手足の骨折の際に使う器具とは異なったものです。かなりの割合で顔にメスを入れることなく、口の中の切開のみで手術が可能となっています。

歯の破折・歯の脱臼

外傷の程度が軽い時には、歯が折れたり(破折)歯が抜け落ちたり(脱臼)するだけで骨折を伴わないこともあります。

歯の接着材料の進歩と接着技術の開発のおかげで、折れた歯をそのまま元に戻すことが出来るようになっています。折れた歯の神経が生きているか死んでいるかにより多少治療方法は異なります。

外傷で歯が抜け落ちた時は、あきらめずにまず歯を探してください。
皆さんに知っていただきたいことは、外傷後条件がそろえば抜けた歯を元に植え戻すことが可能だということです。見つかった歯は乾燥しないよう、なにもなければ口の中に入れて飲み込まないよう注意してできるだけ早く歯科医院を受診してください。学校の中での事故で、もし医務室に生理食塩水があればその中に入れて受診するのが理想です。
歯が抜け落ちて時間がたてばたつほど、元に戻しても歯がつく確立は低くなります。

マウスガード

スポーツ外傷による歯の破折・歯の脱臼・あごの骨折を防ぐための装置です。個人個人の口の中の形に応じて、型を取って作ります。詳しくは本院の歯科医師にご相談ください。

新しい素材の開発により、マウスガードはより軽量となり丈夫で装着時の違和感もあまりありません。ボクシングやラグビーのようなコンタクトスポーツだけでなく、野球やサッカーなどの際に使用することで、外傷から歯やあごを防護するのに有効です。

    第39回研修会の延期お知らせ
    令和2年4月12日(日)に予定しておりました研修会は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため令和2年9月6日(日)に延期とさせて頂きました。
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