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口腔癌

あまり知られてはいませんが、お口の中にも癌ができることをご存知ですか?

日本では口腔癌は癌全体の約2%にすぎませんが、直接生命にかかわる重大な病気であることには違いはありません。
また幸いに最悪の事態は避けられた場合でも、口腔癌のために「食べる」、「飲む」、「話す」、「呼吸する」などといった、私たちの「生活の質」に直接深く結びついているお口の働きが大きく妨げられ、「生活の質」が著しく低下してしまう場合があります。

口腔癌の中で最も多いのは舌癌(約60%)で、歯肉癌、口底癌、頬粘膜癌などの順でみられます。また、口腔癌は50才以上の高齢者に多く、女性よりも男性に多い傾向があります。治療は抗癌剤による化学療法、放射線療法、手術療法を組み合わせて行われ、治療後の「生活の質」ができるだけ低下しないように配慮がなされています。

口腔癌も早期に発見することができれば、身体の他の癌と同様に治癒率はきわめて高く、また治療後の「生活の質」の低下も最小限にくいとめることができます。

早期発見のために、月に1回はセルフチェックを!

お口の中は、鏡などを使えば誰でもご自分で簡単に見ることができる場所です。ですから口腔癌は胃癌や肺癌などとは違って、直接目で見て調べることができることから、比較的早期発見が容易な癌であると言えます。したがってお口の中を日常的にご自分でチェックしていれば、口腔癌を初期の段階で発見することも十分に可能なのです。私たちは口腔外科医の立場から、ひと月に1回のセルフチェックをお勧めします。

セルフチェックのしかた

明るい光と鏡を用意し、入れ歯があればはずしてください。それでは次の順にお口の中を見てみましょう。

  1. 上下の唇の内側や前歯の歯肉のチェック
  2. 頭を後ろへそらし、上あごのチェック
  3. 頬っぺたを指で少し外へひっぱり、上下の奥歯の歯肉と頬っぺたの内側を左右それぞれにチェック
  4. 舌を前に出し、舌の表面と左右の裏側のチェック

セルフチェックのポイント

口内炎と間違えやすいので注意が必要です。

  1. 治りにくい傷がないか
  2. 粘膜のただれや赤い斑点がないか
  3. こすってもとれない白い斑点がないか
  4. まわりの健全な組織との境界がはっきりしないしこりや腫れ、できものがないか

早期発見、早期治療が最も大切です

もしセルフチェックの結果、気になる症状が見られたら恥ずかしがったり、こわがったりせずにできるだけ早く口腔外科医の診察を受けて下さい。治りにくい傷やしこり、腫れなどを、そのうち治るだろうと放置したり、見過ごしたりしないで下さい。早期発見、早期治療こそが口腔癌の治療にとって最も大切なことなのです。

予防法は、癌になりやすいリスクファクター(危険因子)をへらすこと

口腔癌の予防法としては次のようなことが挙げられます。

  1. 刺激物(特にタバコ、アルコール)を控える
  2. 口の中を清潔にする
  3. 口の粘膜に慢性の刺激を与えない
    (壊れた入れ歯、合わない入れ歯、歯のとがったかど、破れたかぶせものなどによる慢性の機械的刺激)

口腔癌をひきおこす可能性があるリスクファクターとして最も重要なものは「喫煙」で、喫煙者は非喫煙者より口腔癌の死亡率が4倍高いという報告があります。さらにパイプや葉巻の煙による熱が粘膜を刺激し癌になりやすいと考えられることから、パイプや葉巻は紙巻きタバコよりもリスクが高いと言われています。また日本ではほとんどみられませんが、嗅ぎタバコや噛みタバコも口腔癌のリスクファクターとして重要視されています。
その他のリスクファクターには、「飲酒」、「口腔清掃の不良」、「壊れた入れ歯や破れたかぶせものなどによる慢性の機械的刺激」、「栄養不良」、「ウイルス」などが挙げられます。

またこれらのリスクファクターが重なった場合、ダブル、トリプル、マルチに重なるほど危険性は増大します。特に口腔癌をひきおこしやすいハイリスクファクターは、50才以上の男性で飲酒時にタバコを吸っている場合です。飲酒時のタバコは、タバコに含まれている発癌性物質がアルコールによって溶けて口腔粘膜に作用するのでリスクが高いと考えられています。

    第39回研修会の延期お知らせ
    令和2年4月12日(日)に予定しておりました研修会は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため令和2年9月6日(日)に延期とさせて頂きました。
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