のう胞
頭頸部領域の嚢胞は大きく分けて
- アゴ骨の中にできる嚢胞
- 骨の中以外のところにできる嚢胞
の2つに分けられます。
それぞれの嚢胞で、代表的なものを見ていきましょう。
アゴ骨の中にできる嚢胞
歯根嚢胞
歯根嚢胞は、アゴ骨の中にできる嚢胞の中で最もよく見られます。歯根嚢胞は、歯の根の先に住み着いた細菌や、腐った組織の刺激によってできる嚢胞です。
この嚢胞の発生パターンで、最も多いものを紹介します。
ろほう性歯嚢胞
歯か発生する段階で「歯の子宮」に相当する組織があるのですが、これが嚢胞化したものです。なぜ、嚢胞化するのかよくわかっていません。
これら、アゴ骨の中にできる嚢胞は徐々に大きくなります。もし、なにも治療しなかったら一体どうなるでしょうか?
下顎(下のアゴ骨)にできた嚢胞を例にとって見ていきましょう。
骨の中以外にできる嚢胞
粘液嚢胞
口の中の粘膜直下には米粒大の小さな唾液腺が隠れており、それらの唾液腺からは、唾液が非常に細い管を通って口のなかに分泌されます。唾液がとおる細い管が、詰まったり、もれたりすると唾液は口の中に分泌されず、粘膜下に溜まってきます。これを粘液嚢胞といいます。
ガマ種
粘液嚢胞の原因唾液腺は粘膜下にある小さな唾液腺でしたが、舌下腺という大きな唾液腺も閉塞したり漏れたりして、粘液が組織内に溜まる事があります。舌下腺が原因となった場合、非常に大きな嚢胞になります。この嚢胞ができると舌のうらが盛り上がり非常にしゃべりにくくなります。また、まれにですが、筋肉の隙間を通ってあごの下が腫れてくる事があります。
嚢胞の治療
歯根嚢胞は、原因となっている歯の治療を行うだけで治ることがたまにありますが、ほとんどの嚢胞は手術しないと治りません。嚢胞が小さい場合は簡単な外来手術で済みます。
しかし、嚢胞が大きくなると全身麻酔が必要な、比較的大きな手術になります。
嚢胞の基本的な治療は、摘出(嚢胞の袋ごととってしまう)か、開窓(嚢胞の袋に穴をあける)になります。